企業の人材確保について伺います。
大阪万博の準備の遅れと費用の増加に対して、国民全体、いや、全世界からの懸念が寄せられています。
それがだれの責任か、それでは成功したら誰の手柄なのか、という論争はさて置いて、私は、大阪の、関西の魅力を世界に発信する絶好の機会である大阪万博の成功を願う気持ちは、立場、党派等の違いを超えて、「大阪人」「関西人」の多くが持っている真摯で素朴な気持ちだと考えています。私もその一人であり、大阪万博の成功とそれを活用した大阪・関西の発展を心から願っているところです。
一方で、先日、パビリオンを出展される企業の方のお話を伺う機会がありましたが、「お金のことは必要なら出すしかない。しかし、パビリオンを建てる人がお金を出しても来てくれない。」と嘆いておられました。
この声に限らず、全国の建設現場、特に、万博準備に追われる大阪の建設現場において、人手不足が深刻だ、との声は、マスコミ報道としても、関係者の声としても、毎日のように耳にしているところです。
ただ、こうした「人手不足」は、建設業界だけの話ではありません。
本年6月議会の代表質問で私が指摘し、市の対策を求めた通り、介護業界の人手不足も深刻であり、特に、地域包括ケアシステムの鍵となるケアマネジャーの人材の奪い合いは、地域間、施設間で激化し、好待遇を提示できない地域包括支援センターなどでは人手不足に起因する業務量の増加、勤務環境の悪化がさらなる職員の離職につながるという負の連鎖が起きている例は決して珍しいことではありません。
また、慢性的な人手不足が続いてきた自衛隊のみならず、「狭き門」が続いていた教員や果ては官僚に至るまで「なり手不足」が指摘され始めた公務分野、「無医村」問題を超えて、医師不足、看護師不足から広域にわたり診療ができなくなる地域が発生しつつある医療分野、「個人宅への再配達はできません」という声が現実のものとなり始めた流通分野、「ワンオペ」がもはや珍しくもない飲食分野、小売分野等、わが国の「人手不足」は慢性化、深刻化しています。
マクロベースで見ても、令和5年10月の有効求人倍率は1.3であり、1.5を超えていたコロナ禍前にじりじりと近づいて、経済成長に暗い影を落とすだけでなく、企業の存続や労働者の心身の健康に悪影響を及ぼすまでになっています。

DXの進展により仕事の効率性は大幅に上がっているはずなのですが、それを上回る速度で業務量の増加と就労者の減少が進んでいるのです。
この守口市においても例外ではありません。多くの企業・団体関係者にお話を伺うと、人手不足は深刻です。特に、長期にわたり安定して働いてくれる人材の確保について、多くの企業・団体は頭を痛めています。
言うまでもないことですが、市内の企業・団体の健全な成長は、守口市の持続可能な発展と市民生活の維持のために必要不可欠です。人手不足は、それを脅かす深刻な危険があります。

守口市の経済・財政と市民生活を支える企業・団体の人手不足を解消する施策を講じることが必要と考えますが、市長の基本認識を伺います。

そのうえで、二点提言させていただきます。

まず、守口に住み、若い世代の市内流入・定住促進と市内中小企業の人材不足解消を目的に奨学金返済費用の一部を市が支援する制度を導入されてはいかがでしょうか。
この制度が優れているところは、その自治体に住居を置いて個人として納税を行うだけではなく、就労も要件とすることで、就労した企業・団体の活動を通じて自治体の発展に貢献していただけることです。
幾つかの先進団体で導入実績がある制度ですが、「どうせならこの制度のあるところに就職しよう」という心理が働き、人手不足解消、定住促進の効果があがっていると聞いております。守口市においても導入を検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。

もう一つは、新たに就労者を呼び込むだけではなく、既にいる就労者の方、あるいはこれから就労しようとする市民の方に、効果的・効率的に仕事を行っていただくため、市民の方が資格の取得や研修の受講を行われる際の費用の一部を市が支援する制度を導入されてはいかがでしょうか。

就労者、あるいは市民の方が、資格を取得し、研修を受講することで、企業・団体の発展につながることは言うまでもありません。また、ご本人にとっても、処遇改善や遣り甲斐を持って働くことにつながることが期待されます。
守口市では、市民の皆様の趣味や生き甲斐、健康増進につながる活動を支援をしているのですから、市や企業・団体の発展、そしてご本人の遣り甲斐につながる活動を支援することは、これまでの施策との整合性を失うとは考えられません。
この二つの提言について、導入を検討されることを提言いたします。
市長のご見解を伺います。
以上５点、前向きなご答弁をお願いいたします。

最後に、この場にご参集の皆様、そして、守口市に関わるすべての皆様が来年もご健勝でご多幸であることを祈念して、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。