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議会活動

守口市議会 令和元年6月

災害時の「乳幼児液体ミルク」の活用について

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保育・教育・子育て

水原

災害時における避難所の運営においては、心身ともに衰弱した状況にある避難者の皆様に対して、行政として出来得る限り配慮することが必要となります。
一般論として、避難者支援には様々な課題がありますが、その中でも、食事の問題は特に重要な課題です。避難所では、どうしても水分・食事が制限され、偏った食生活を強いられます。
このため、避難者の皆様が必要な栄養を十分に得ることができるよう、食事(備蓄食料)の内容を適切なものとすることが必要ですが、高齢者、乳児、妊婦、病者の方々に対しては、それぞれの事情に着目した特段の配慮を行わなければ、深刻な事態を招くおそれがあります。
その中でも、体力、抵抗力ともに特に低く、自力で動くこともできない乳児への配慮は特に大きな課題です。

東日本大震災時の記録を紐解けば、日本栄養士会等での報告においては、発災から1か月後の避難所における、栄養に特段の配慮が必要な避難者の中で、最も数が多かったのは乳児であり、災害時には、乳児、妊婦、授乳婦に対して特に優先して栄養補給を行うことが必要である、とされています。
乳児の栄養は母乳が基本ですが、どうしても母乳が不足する場合には、母乳代替品で補うことができます。
その一つが、粉を溶かさず、そのまま飲むことができる乳児用調整液状乳、いわゆる「乳児用液体ミルク」です。
この乳幼児液体ミルクは、価格は粉ミルクと比較して高価であり、保存性にも劣りますが、そのままで乳児に与えることができるため、水も燃料も足りない避難所における備蓄物品としては大きなメリットがあります。
また、保存性に劣るとは言え、粉ミルクに比べての話であり、常温で半年から1年程度の保存は十分可能であり、備蓄物品としての要件は満たしています。
この乳児用液体ミルクは、欧米などでは一般販売されていますが、日本においては、これまで、食品衛生関係法令においては成分規格等が設定されておらず、また、消費者関係法令においても表示許可基準が設定されていなかったため、製造・販売ができない状態でした。

しかしながら、平成28年4月に発生した熊本地震において、自民党の森まさこ参議院議員をはじめとした超党派の「日本フィンランド友好議員連盟」が中心となり、緊急的にフィンランド製液体ミルク約5,000パックを手配、保育施設で配布を行いました。
このことを契機として、同年5月、自民党の自見はなこ参議院議員をはじめとした「乳幼児液体ミルクの普及を考える会」が発足、同議連が政府の関係府省と協議、折衝を重ね、平成30年8月8日に関係法令の改正が実現、わが国でも乳児用液体ミルクが製造・販売できるようになったところです。

これまでに、江崎グリコ株式会社、株式会社明治の各1製品が平成31年
1月に厚生労働省の承認を受け、同年3月に消費者庁から許可されて、乳幼児用液体ミルクが販売される運びとなっています。

先ほど申し上げたとおり、乳児用液体ミルクは、保存期間が紙パックは約6カ月、缶は約1年と容器包装によって異なりますが、常温保存が可能であり、ふたを開ければそのまま使用できます。
その点において、水も燃料も足りない避難所で使用する食品としては、ぬるま湯で溶かさなければ使用できない粉ミルクと比べて、大きなアドバンテージがあります。期限が迫ったものは検診等で配布し在庫を入れ替えるローリングストック法等の備蓄物品管理手法を取り入れれば、管理に問題が生じるとも思えません。

国産の乳児用液体ミルクを備蓄する自治体は、現在は箕面市を含め3自治体であり、その他の自治体においても検討を行われているものと仄聞しております。
この守口市は、幼児教育無償化を全国に先駆けて行われるなど、子どもを重視する政策を次々に打ち出されています。
決して起きてほしくはない、ですが、いつかは起きるであろう大規模災害時に、乳児の生命と健康を守るため、早急に乳児用液体ミルクを備蓄物品に加えられるべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
以上で私の一般質問を終わらせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

危機管理官

本市では、大阪府と連携し、南海トラフ巨大地震等を想定した災害時の備蓄物資を計画備蓄しており、この主要品目のひとつとして「育児用のミルク」(育児用調整粉乳)を避難者用の粉ミルクの形でローリングストック方式により、備蓄しています。
ご質問の「乳児用液体ミルク」につきましては、粉をお湯で溶かす必要がなく、簡単に摂取できるというメリットがある一方で、国内製造・販売が、今年から解禁されたばかりで、賞味期限やコストの面では粉ミルクに劣っていることから、現時点では、備蓄物資として取り扱うまでの判断には至っておりません。
また、大阪府も、現行の流通備蓄の手法の下では、液体ミルクは、必要量の確保が困難なため、それへの置き換えを具体的に検討していない状況にあり、今後、市場での流通量の推移等を見極め、その導入を検討する方針とお聞きしております。
従いまして、本市といたしましても、大阪府と協調しながら、取り扱いの可否の検討を深めて参りたいと考えております。