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議会活動

守口市議会 令和3年6月

民間の知恵と力を適切に活用するための民間委託について

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地方創生

水原

次に、民間の知恵と力を適切に活用するための民間委託について伺います。
少子高齢化や生活スタイルの多様化等により、市民が求めるサービスはより高度に、より多様になっています。
このような状況に的確に対応し、かつ、健全な行財政を次の世代に引き継ぐためには、市民サービスのすべてを行政が直営で行うのではなく、民間の知恵と力を活用することが必要となります。
この守口市においては、西端市長の就任以降、このような認識を基本として、窓口業務やコミュニティセンターの運営をはじめ、様々な業務の民間委託が進んだものと認識しています。
私は、このような取組の方向性について、市民サービスの維持・向上と健全な行財政基盤の確保の両立を目指すものとして、高く評価するものであります。

そこで、まず、本市においてこれまで進められてきた業務の民間委託について、市長の評価を伺います。

答弁

本市では、これまでから、3次にわたる「もりぐち改革ビジョン」(案)を策定し、不断の行財政改革に着手する中で、「民間でできることは民間に任せ、効率的な行財政運営を進める」との考えの下、市役所業務の民間委託を積極的に進めてきたところです。
具体的には、総合窓口や税などの市役所窓口業務や、ごみ収集業務、放課後児童クラブ等の民間委託を始め、公立幼稚園・保育所の統合と民間移管も順次実施するとともに、コミュニティセンターや公園、市営住宅などの管理運営においては、指定管理者制度を導入してまいりました。

水原

一方で、民間委託しさえすればすべての問題が解決するものではありません。
一般論ですが、委託した後は業者に「任せっぱなし」となった上に、新たな事業者の選定も漫然と前回の手続きを踏襲するような民間委託では、公務員が楽になっただけで、市民にとっても市財政にとってもマイナスとなるような状況に陥りかねません。
このような事態を避けるためには、委託開始から一定程度の期間を経た後に、委託事業者は最良の事業者を選定できたのか、委託方式や委託する業務の範囲は適切であったのか、市の監督は適切であったのか、最終的に民間委託したことによってどのようなメリットがあったのか等の点について、精緻な検証を行うことが必要と考えます。
検証結果については、事業者にフィードバックして委託期間内のサービスの向上を求めるとともに、次回の事業者選定の手法や判断基準に反映させます。
また、私たち議会や市民の皆様にも丁寧に説明することで、行政の透明化を進めることにもなります。
このようなPDCAサイクルを確立することによって、民間委託を真に市の、そして市民のためになるような制度として育て上げることができるのではないでしょうか。

もちろん、担当課におかれては、委託事業者から定期的に報告を受け、随時に業務指導を行われていることは承知しています。
また、他事業と同様、事務事業評価や予算査定の中で、一定の評価が行われていることと認識しています。
しかしながら、本市が直営で行われ、執行を直接管理できる事業に比べて、民間委託で行われている事業は評価が難しくなることは事実です。

だからこそ、直営で行われている事業からさらに踏み込んで、指定管理者のモニタリング制度のように、外部有識者や市民の意見も伺い、他都市とも比較しながら、より客観的で専門的な評価を行うべきではないでしょうか。
民間委託開始直後には流石にそのような取組は難しかったと思いますが、各業務とも委託開始から一定の期間が経過しつつあります。
今ならば、十分に可能と考えます。
民間委託事業に係る精緻な検証を行うことによるPDCAサイクルの確立について、お考えを伺います。

答弁

本市といたしましては、民間事業者への委託による適切な事業実施に当たっては、委託事業者との情報共有や実施状況の検証を逐次行うとともに、その課題改善を図ることは非常に重要であると考えています。
このことから、委託業務の実施におきましては、適正な業務の遂行を目的に、委託事業者との間で定期的に報告会議を開催し、委託業務の実施状況や課題点を議論するなど、連携を密にし、日頃から適切な情報共有や課題改善に努めているところです。
今後とも、こうした委託事業者との定期的な会議の開催のみならず、利用者の満足度の把握などによる現状分析や検証を行ったうえで、その結果を次の業務委託時における仕様書に反映させ、事業者選定に活かす等、適宜見直しを図り、市民サービスの更なる向上につながるような業務委託の実施に努めてまいります。

水原

さて、もう一点、提案を行いたいと思います。
先ほどもふれましたが、私は、本市においては民間委託が相当程度進んだと認識しております。
この先、新たに民間委託するべき業務は何か、と問われると、すぐには答えが出てまいりません。
一方で、現在は、技術の発展や新型コロナウイルスの影響を含む生活スタイルの変化、ビジネスに関する情報の伝達スピードの高速化等により、従来は想定していなかったサービスが行政サービスやビジネスとして成立しているという状況にあります。
 例えば、現在、国が審査中の「スーパーシティ構想」について、内閣府地方創生推進事務局が公表する提案概要一覧を一読するだけでも、空飛ぶ車にオンデマンドバス・タクシー、区域全域でのオンライン診療とバイオデジタルツイン、ドローン配達やキャッシュレス地域通貨、クリーンエネルギー地域自給にバーチャル都市と、夢のような、それこそドラえもんや鉄腕アトムに出てくるような事業が、官民連携で進める事業として並んでいます。
 提案団体は、このような最先端技術を活用した新たな市民サービスについて、民間事業者の提案も踏まえて、職員と民間事業者が協議を重ね、有識者の指導も受けながら提案を練り上げたと聞き及んでおります。
 そこまで最先端技術を活用した話でなくとも、全国の優良事例を調べていけば、市が有する歴史的建造物を活用した宿泊施設を民間企業に整備・運用していただくことによって、維持・管理経費節減と観光振興の両立を実現する事例や、行政が土地を提供して民間企業に図書館とショッピングセンターを自己負担で建設していただく事例など、今の守口市から見れば、それこそ夢のような話が幾つも出てまいります。
このような優良事例を実現している団体は、必ずしもこの守口市より規模が大きいという訳でもありません。先ほど挙げた事例についても、守口市より小さな市や町が実現しているのです。
 このような団体に共通しているのは、民間事業者の幅広い提案を積極的に受け入れていく姿勢と、行政と提案事業者が協議を重ねてより良い案を練り上げていくことを良しとする組織風土です。
 この守口市においても、それができない訳はないのではないでしょうか。
本市も、民間企業から「こんな事業を官民連携でやりませんか」「この業務について私たちに任せていただけませんか」という提案をいただき、そうした提案について行政と民間企業がより良い提案となるよう検討を重ね、良いものになったら事業化することによって、民間の知恵と力をさらに活用し、市民と市と事業者の三者の利益となるような、新たな一歩を踏み出すことができるものと考えます。
一方で、いきなり「民間企業の提案を積極的に受け入れよう」と号令をかけても、それだけではなかなか難しいかと思います。
今さらですが、行政においては、まずは仕組みづくりから始めることが肝要です。
そこで提案したいのが、提案型の民間委託制度です。
これは、民間事業者の主体的な発意によって住民サービスの質や満足度などを向上させるため、民間事業者から事業等の提案を公募で受け付ける仕組みです。
具体的には、行政が行う事務・事業を対象として公募を行い、民間事業者から「この事務・事業について、私たちならばこのようにやります」「この資産について、私たちならばこのように活用します」という提案を受け付け、行政と民間事業者が協議を重ねて案を練り上げ、その案がこれまでのやり方と比べて安価である、効果が高いと見込まれる場合にはその事業者に委託するというものです。
河内地域においては、枚方市、大東市においてこのような制度が導入されていると聞き及んでおります。
テーマや事業を絞る場合もありますが、先進的団体においては、行政が行うすべての事務事業について、提案を受け付けているとのことです。
提案を必ず受け入れなければならない訳ではなく、先ほど述べたように、検討してもこれまでのやり方と比べて安価である、効果が高いと認められない場合には委託しなければ良い訳ですから、市民サービスが低下するリスクは極めて低いものと考えられます。
逆に、夢のような提案、目から鱗が落ちるような提案をいただくことにより、これまで行っていた事務・事業が劇的に改善することが期待されるのです。
先進事例も参考に、提案型の民間委託制度について導入を検討されることは、本市の大きなメリットになるものと考えますが、市の見解を伺います。
以上で私の一般質問を終わらせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

答弁

本市では、本年度からスタートした「第3次もりぐち改革ビジョン」(案)の中で、事務事業の改革方針として、民間事業者からの提案を含めた公民連携手法の導入を掲げており、これに基づき本年4月1日から、公民連携デスクを設置したところです。
公民連携デスクでは、民間事業者の社会貢献を始めとする事業提案や相談について、市の窓口として一元的に受け付け、その内容が本市の行政課題の解決に効果的と考えられるものについては、事業者と担当部局を結ぶとともに、提案内容のコーディネートも行いつつ、市民の皆さんや民間との協働による市としての新たな事業展開 につなげていく役割を担うこととしています。
今後とも公民連携デスクにおいてこうした取組を積極的に進めていくとともに、本市が抱える行政課題も主体的に発信するなど、より多くの民間事業者との対話をしながら、民間の知恵と力を適切に活用できるよう努めてまいります。